HexD という音楽のジャンルがある。

2010 年後半に SoundCloud で発生した新しいジャンルで、 ハードコアやトランス、クラウドラップ、ブレイクコア、トラップなどのエレクトロニックミュージックを土台として、 音割れしたビットクラッシャーノイズが前面に散りばめられているLo-fiサウンドが大きな特徴だ。

曲の中でもアニメやゲームの楽曲や効果音がサンプリングされて使われていることもしばしば。この辺りのサンプリング文化はVaporwaveやFuture Funkに通じるところがある。

シューゲイザーがロックミュージックと楽器による轟音ノイズの融合だとすると、HexD はエレクトロミュージックとデジタルノイズの融合である。

一時期シューゲイザーにハマっていた私にとっては轟音ビットクラッシュノイズで埋め尽くされるような音像が描き出される HexD は新鮮であると同時にどこか親しみを感じさせるジャンルだ。

HexD というジャンル名は、SoundCloud のにアップロードされた Rare RCB hexD.mp3 という曲名から由来しているらしい。Surge とも呼ばれることがあるようだ。

HexDのアーティストの代表格はおそらくFax Gangなのではないかと思う。だが今回はあえてAERO GROS M のアルバム “Chocolate Hearts and Stag Beetles” を紹介したい。(Fax GangのPK Shellboyと2曲目で共作している。)

エコーがかかったデジタルノイズが刻まれたビートに乗って脳に流れ込む。音の輪郭が曖昧になり、陶酔感を超えて酩酊した時のような混沌が脳の中に作り出される感じがしてとても良い。

アルバムの中でもCloud rap のスタイルで魔法少女まどか☆マギカの「コネクト」のサンプリングがノイズ、効果音と神々しく混じり合う"loveliescrushing"という曲は特に素晴らしい。

YouTubeに本人?がアップロードした動画の説明に

this is a song about how much we hate you. if you think this isn’t about you, it probably is.

なんて不穏なことが書いてありますね。

暴力的な音圧のノイズ(This HeatのTestcardを連想した)と甘いメロティが混沌と入れ替わる"&“も聴いていてとにかく新鮮だ。

好きな曲: loveliescrushing, &, FL€€T FOXES, In the Hull of a Dying Spaceship