ドイツの実験電子音楽グループOvalの4thアルバム、94 Diskont。 このアルバムは何と言っても1曲目のDo Whileの存在感が際立つ。

温かい電子音の曖昧な揺らめきの反復が生み出す、しこたま飲酒してフラフラになって眠くなっている時のように感じるような、ドラッギーな酩酊。24分間にわたって繰り返されるアンビエントノイズは、聞いているうちに夢のなかに誘い込まれそうなほど幻想的で美しい。

他にアルバムに収録されているCommerce ServerやShop In Stoneは、単体で聞けば結構いい曲だが、曲の長さが短くDo Whileのトリップ感を味わう前に曲が終わってしまうので、前半どっぷりとDo Whileの世界観に浸かってからアルバム後半を聞いていると若干物足りなく感じてしまうこともあるかもしれない。

音源ソースを収録してCDの記録面をマジックペンで汚したり、カッターナイフで傷をつけたりして音飛びを発生させるなどの手法が用いられ、リリース当時は賛否両論だったらしい。

人によってはずっと同じような音が流れているように聞こえて退屈に感じるかもしれないが、騙されたと思ってまずは一度、24分間、揺らぎながら変化していく音響に耳を傾けて欲しい。