(追記) BOaT に関する情報はこちらにあります。
最近はすっかり暑くなってきていよいよ夏本番という気がするが、この季節になると BOaT を聴きたくなる。
2001 年に解散した後相当時間が経ってからバンドを知ったのでリアルタイムにリリースやライブを体験することはできなかったが、マイフェイバリット邦楽バンド TOP3 に必ずランクインするほど好きなバンドだ。もしタイムマシンを 1 回だけ使うことができて好きなバンドの解散ライブを見ることができたらおそらく BOaT の解散ライブに行くだろう。
マイナーバンドなので好きなバンドを聞かれた時に BOaT の名前は基本的に出さないけども、酔っ払って気分が良くなっているときには、ふーんそうなんだ、聞いたことないけど、と言われるのを承知で喋ってしまう。
BOaT が残した音源は少ない。オリジナルアルバム 4 枚(フルーツ ☆ リー、SOUL.THRASH.TRAIN、LISTENING SUICIDAL、RORO)とシングル数枚、コンピレーションに提供した曲ぐらいだ。どれも素晴らしいのだが、その中でもラストアルバムである RORO は一際輝く屈指の名作である。
3 枚目までのポップでファンキーなミクスチャーロック路線とは大きく変わり、3 枚目の LISTENING SUICIDAL に見え隠れしていたプログレ方面のアプローチが進化し、曲は長く、シリアスで叙情的になっている。
夏の到来を告げるようなオーガニックな雰囲気を漂わせながら一曲目の All が始まる。気分がゆっくりと高まってきていつの間にか RORO の奇妙でポップ、そしてエモーショナルな世界観に引き込まれている。
Akiramujina はインスト曲で、ギターロック系の轟音ポストロックといった雰囲気。混沌かつ清冽な音がうねりながら変化していって、テンション高く暴れまわるギターとポップなメロディの融合が織りなすサウンドスケープには胸打たれる。
そして続く Roots Of Summer は繰り返されるサビが聞いてて心地よく、爽やかかつめちゃくちゃポップな胸キュン曲。途中まで溜めて溜めてサビのところで一気に爆発してポップになる感じ、白熱するテンション、絶妙なバランスで絡みつくツインボーカルがスーパーエモーショナルで思わず歌い出しそうになる。「アキラムジナ吸って 夏を裏付けた」というどういうことか良くわからない歌詞も頭に残って印象的。何よりも、アインのキュートなボーカルが特徴的な、ラストで繰り返されるサビで味わう高揚感が最高だ。
Rummy Night は前作 LISTENING SUICIDAL (こちらのアルバムも名盤である) の初回限定版 8cm に収録されている NIGHT HAWK NIGHT がさらに進化したようなポストロック風味の曲で、夜の静謐さが徐々に混沌へと変わっていくような印象で、美しくサイケデリックだ。
Tuesday は長尺のプログレ調のインスト曲。2 曲めの Akiramujina もその点は共通するが、Akiramujina がだんだんとテンションが上がって高揚していくような盛り上がり方をするのとは対照的に、Tuesday は聞いているうちに、より深く、自分の内面に染み渡っていくような昂りを覚える。特に、曲の半ばで一旦静けさを取り戻してからの後半部分の盛り上がりが神懸かっていて、無情感とか喪失感とか寂寥感とか、夏の終わりに伴う感情がごちゃまぜになって押し寄せてくる。RORO を聞いているときの精神的な盛り上がりのピークは Tuesday の後半で間違いないと思う。
Circle Sound はアルバムのラストを締めくくるポップチューン。イントロのトゥルトゥトゥトゥル〜ですでに最高なんだけど、揺らめくような A メロ、B メロから突入するテンション爆上がりのサビ、途中のギターソロも涙が出そうなほどカッコ良く、花火がパッと打ち上がって終わるような余韻で終わるところも好きだ。Listen to the light and don’t forget という歌詞もお気に入りで、blog のタイトルはここから取っている。
このアルバムには初めは大人しめのムードで始まって徐々に気持ちを盛り上げるタイプの曲が多いが、全ての曲の盛り上げ方が自然でいつの間にか気持ちよくなっているのが不思議だ。うまく言葉にできないが、聞いてると妙にノスタルジックな気分になるというか、自分の奥深くの内面が揺れ動く気がする。
All で始まり Circle Sound で終わる、アルバムの中に夏の始まりから終わりがギュッと閉じ込められていて一つの流れになっている。僕の中で夏を裏付けるアルバムと言えばまさにこれであり、初めて聞いた時から何年も経っているが未だによく聞くアルバムでその度に良さを確認している。
一つ悲しいことは、BOaT 関連の CD が軒並み廃盤になっているのでこのアルバムに出会いづらいということだ。
フルーツ ☆ リーとソウルスラッシュトレインに関しては Amazon マーケットプレイスで 1000〜2000 円ぐらいで買えるし、Apple Music や iTunes Store で聴けるのでハードルはそれほど高くない。
LISTENING SUICIDAL や(肝心の)RORO は、iTunes には無いので渋谷 TSUTAYA やジャニスなどに借りに行くか、高い(RORO だと 5000 円〜ぐらい)がマケプレやディスクユニオンで買うしか無いと思われるのでちょっと大変。しかし、音楽好きならばコストや手間を払ってまで聞く価値があると思うし、その中でも特に RORO は奇跡を感じるアルバムだと思う。
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All
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Akiramujina
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Roots Of Summer
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Rummy Night
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Tuesday
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Circle Sound
2022/07/18 追記:
BOATのROROがリリースされて本日で丸20年。ROROが成人(人じゃないけど)とAxSxEさんに連絡したら興奮気味の返事来たる。部屋にROROのアナログ盤を20年も飾り続けている事になるのだな。NATSUMENのライヴが観たいですと伝えました。またブッキングしたい。 pic.twitter.com/LT9e3Myk9Q
— 佐藤則之 (@rideononon) April 10, 2021
再発願う!
2022/8 追記: BOaT「RORO」など 3 作をワーナーミュージックがサブスク解禁 https://natalie.mu/music/news/489185
サブスク解禁されました。みんな聴きましょう。