アメリカ、サンフランシスコで活動していたバンド、Girls。活動期間は2007-2012年と短く、僅か2枚のスタジオアルバムと1枚のEPを残し解散してしまった。バンド名こそガールズだが、クリストファー・オウエンスとジャック"JR"ホワイトの男性2人のバンドだ。

Girlsが残した2枚のアルバムは大変な傑作なんだけど、今回は特に僕が愛してやまないファーストアルバム、Albumについて書きたい。

まず内容以前にコンセプトが好きで、バンドの名前がGirlsでアルバムのタイトルがAlbumって言うのが、何でも検索しちゃう今時の風潮に対して斜に構えている感じてイカしてるし、白をベースにした限りなく簡潔なアートワークもいい。余計な情報を頭に入れるより、まずは音源を聞いてくれ、みたいなメッセージなのかもしれない。

 

Lust For Lifeのイントロを一聴すればわかる。何かが始まる感覚っていうか、聞いているうちに楽しい世界に誘ってくれるようなワクワクや期待が詰まってて、でもどこか寂しげで心が揺さぶられて、バックコーラスが始まるころには思わず走り出したくなってしまうような特別な曲。

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Hellhole Ratraceの大げさなまでに感情を込めてくる感じ、i don’t want to die~~って思わず歌いたくなる。

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Morning Lightは 部屋の中で大音量で流したい、退廃的な儚い夢のムード漂うシューゲイザー調の曲。不安げなイントロから始まり、暴力的なフィードバックギターと甘く浮遊感のあるボーカルが絡み、中盤からはただただフィードバックギターのメロディが繰り返され、無常感がある。かわいい女の子とメンバーがじゃれ合ってるPVもどこか寂しげで曲調にマッチしている。

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ハイプだとかデモテープっぽいとか50/60sのポップソングのパクリとかいろいろ言われてたけど、むしろ、このデモテープっぽい荒削りさは魅力だと思うし、40s,50s,60sのエッセンスを現代に引き直しただけの単なる模倣でははないことは明らか。

パンク、バラード、シューゲイザー、オルタナ、ネオアコなど様々なジャンルの要素をアルバムから感じるし、クリストファー・オウエンスのボーカルスタイルも、HeadacheやLauren Marieでは甘ったるく優しく、Big Bad Mean MotherfuckerやSummertimeではおどけた歌い方をしたりと、幅広さを感じるアルバム。  

とにかく聞いていて切ない気分になって心酔しちゃう、感傷に浸りたい時に真っ先に聞きたくなる一枚。人によって好みが別れるアルバムだと思うけど、Lust For Lifeを聞いて気に入ったらぜひアルバムを通して聞いて欲しい。