2021年に解散したアイドルグループCY8ERの前身であるBPM15Qが唯一世に送り出したアルバムである。私はこのアルバムはアイドルという枠を超えた普遍的な名盤だと思う。criminally underrated album と言いたい。

元BiS、元アキシブprojectメンバーの”苺りなはむ”と、クラブシーンでも活躍する”にかもきゅ”の二人により2015年5月31日に結成された、ニューエイジボカールDJユニット”BPM15Q(ビーピーエムイチゴーキュー)”待望のファースト・アルバムがリリース!ファンから音源化の要望も多かった、プティパ-petit pas!-とのコラボ曲も収録。

ファーストアルバムと書かれているが実質的には (BPM15Qとしては) ラストアルバム、ベストアルベムである。アルバムにつけられた品番が “BPM15-9” であることもBPM15Q自体の活動の集大成をこの一枚に凝縮したという意思が伝わる。

ジャンルといえばElectro Pop, (Kawaii) Future Bassといったところか。 「BPM15Q!」で始まり「GOOD LUCK」で締められる。可愛いピコピコサウンドなのだが、アルバムを通して聞いた後には 目眩く楽しい夢のような時間が気づくと終わっているような、そんな寂寥感をどこか感じさせる。

BPM15Qから体制が変わり(改名という立て付けだったが実質的には別物だと思う)CY8ERになった後のアルバムも聞いたが、この「BPM15Q ALL SONGS」のアルバムとしての完成度は頭一つ抜けている。 CY8ERになってからこのアルバムに収録されている曲は再録されているが、うまく言葉で言い表せないが「BPM15Q ALL SONGS」に収録されているものとは自分の中では別物のように感じられる。

参考だが、CDとストリーミングでは収録曲が少し異なっている。ストリーミングではコラボ曲「ごーしゅー」が削除され、最終曲は、「GOOD LUCK」の後の再会を予期させるような、Lolica Tonicaのヒイラギペイジによる「ゆびきり」に差し替えられている。アルバムとしての曲の並びの完成度という意味ではCDよりストリーミングの方が上だろう。

CDは残念ながらプレミア価格となり高騰してしまっているが、幸いなことにサブスクで配信されているので聴くのは容易。是非聴いてみてほしい。